8月23日、当園において、今年で12年目になる保育園と小学校の関係者などの連携研修を開催しました。姫路市立八木小学校から校長先生をはじめ8名、市内外の保育園こども園から12名、保育者養成校の先生3名、ほかに療育・支援学校や音楽講師など4名、計27名のご参加がありました。
9時から受付を開始、順次幼児3クラスに分かれて11時まで保育を観察。
11時から20分間観察したクラス別でグループトーク、
全体会のはじめに清流祐昭園長が、「連携研修を10年以上継続して開催できました。最初は『小学校に上がって子ども達が困らないようにするには』のような観点からのスタートでしたが、今はむしろ小学校の授業ありきの視点でなく、もっと先を見つめて『八木保育園の教育保育がこども達の将来にどう繋がるだろうか』と考えるようになりました。
私の夢は、八木保育園の先にはさらに『八木保育園附属小学校、附属中学校、附属高等学校、』最後に『八木保育園附属大学』を作ってそこで保育者を養成して八木保育園に戻ってきてくれることです。」と話して討議に入りました。
まず、各グループのまとめ発表があり
○玩具・材料・道具・家具などの環境が子どもに適したように良く整っている。
○保育者の子どもへの接し方が、言葉の掛け方や表情、しぐさなど子どもとの関わりが、すべて子どもを中心にして真剣に対応されていて、否定的な言葉が無かった。
○子ども同士が言葉で意思を伝え合ったり、歳の下の子どもが困っている場面に優しく上手く接している場面が見られた。
○当初はバラバラに活動しているように見えた子ども達が、最後にそれぞれ作った物を持ち寄ってきたときに「お化け屋敷」を作ろうとしていることが分かり、実はそれこそが主体的な協働なのだと再認識した。
○課業では、本物の材料(野菜・昆虫)を使うなど、子どもの興味を引く工夫が随所に見られた。
○課業への加わり方が自由参加になっていて、興味関心の無い子どもを無理に入ることを強制しないということに、学校には無い学びの形態がカルチャーショックだった。これを学校の授業にどう取り入れられるか考えている。
などの意見が出されました。
次いで、鈴木正敏先生が「八木保育園の保育を10年以上見せてもらって、自己調整力・自尊心・精神的回復力(レジリエンス(resilience))などの力をしっかり伸ばしておられると感じています。ここで培われたこれらの能力は、小学校に上がってからというよりも、もっと大きくなって、将来大人になった時に発揮されるものだと私は信じています。」と、それぞれ具体例を挙げながら解説をして下さいました。
最後に清流綾乃副園長が、「昨年度から『子どもを知る』をテーマに園内研修を続けています。
『保育者が目の前にいる子どもを、先入観を入れないで観られるようになる』ことは、保育の経験が進むほどにむしろ難しいが重要であることを実感します。しかし、職員が一致して取り組むことで、毎日の振り返りの中でもお互いに先入観が入っていないかどうかを点検しあうことも増え、保育室の空気が変わっていくのも感じられています。今日の研修でも、ご参加の方々からこの点に触れられた具体的な示唆を窺うことができて嬉しく思います。」と挨拶しました。
終了後、参加者にコメント票に感想や意見・質問などを記入していただきました。
次回(2024年度)は時間を延長して、午前は観察中心、午後は討議時間をたっぷりとれるような企画を話し合っています。
参加資料「見学上の注意とポイント」:ダウンロード